リビングルームの風景

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おもてなしと安らぎの暮らし

  • 3000〜3500万円
  • 平屋
  • 延床面積:122.05㎡

建築家の設計力が光る、
距離感をデザインした店舗併用住宅。

An architect-designed home with an integrated shop,
where thoughtful spatial planning creates the ideal balance between work and private life,
bringing comfort, functionality, and harmony to both.

建築家の設計力が光る、距離感をデザインした店舗併用住宅。

An architect-designed home with an integrated shop, where thoughtful spatial planning creates the ideal balance between work and private life, bringing comfort, functionality, and harmony to both.

住宅と店舗を併設する建築において重要なのは、機能の分離だけではなく、関係性のデザインです。大分県に建つ建築家の設計したエステ店舗併用住宅は、「おもてなし」と「安らぎ」を両立する空間構成に着目します。敷地条件や家族関係を丁寧に読み解きながら、暮らしと仕事の距離感を建築的に実現した住まいのあり方を紐解きます。


建築家コメント

閑静な住宅街にある約190坪の敷地に計画した、エステ店舗併用住宅。隣接するご実家との関係性や敷地条件を活かしながら、店舗と住まいを明確に分け、それぞれが心地よく過ごせる空間を計画しました。LDKには二つのプライベートガーデンを設け、光と風を取り込みながら、ご実家とも程よい距離感でつながる構成に。ご要望だったピットリビングは家族専用の庭とつなげ、ゆったりとくつろげる居場所をつくりました。

外観は店舗の顔としての存在感を持たせつつ、住宅との境界を袖壁や深い軒で表現。お客様を迎える場と、家族が安らぐ場。そのどちらも大切にした、店舗併用住宅です。


敷地条件を読み解いた配置計画

この住宅は閑静な住宅街に位置する約190坪の敷地に建てられています。敷地の西側にはご実家が隣接し、さらに敷地の半分近くがガケラインにかかるという特徴的な条件を持っています。こうした制約の多い環境に対し、本住宅ではそれをネガティブに捉えるのではなく、むしろ関係性をデザインする要素として積極的に取り込んでいます。

住宅と店舗は、南面道路に対して明確に分けて配置されており、来客動線と家族の生活動線が交差しないよう計画されています。一方で、ご実家との関係については、完全に遮断するのではなく、適度な距離感を保ちながらつながりを持てるように構成されています。さらに、ガケ地部分には共同で利用できるドッグランスペースが設けられ、家族間のゆるやかな関係性を支える場として機能しています。

ファサードに表れる「分ける」デザイン

外観は、水平ラインを強調したシンプルな平屋構成でまとめられています。グレーとホワイトのコントラストによる落ち着いた色構成の中に、深く張り出した軒や袖壁が印象的な陰影を生み出しています。この外部の構成が、店舗と住宅の関係性を象徴的に表現しています。

特に、道路側に面した店舗部分は「顔」としての役割を担いながらも、過度に主張することなく周囲の環境に馴染むよう設計されています。延びる袖壁や軒は、来客をやわらかく迎え入れる半屋外空間をつくると同時に、住宅部分との緩衝帯としても機能しています。これにより、パブリックとプライベートを明確に分けながらも、建物全体としての統一感が保たれています。

店舗と住宅、それぞれの居心地をつくる内部構成

内部空間においても、用途に応じた明確な性格付けがなされています。エステ店舗は落ち着いたトーンでまとめられ、来客がリラックスできる静かな空間として設計されています。

一方、住宅部分は木の質感を活かした温かみのある空間が広がり、家族が安心して過ごせる居場所となっています。

重要なのは、単に空間を分けているのではなく、それぞれに最適な環境を与えている点です。店舗は「迎えるための空間」、住宅は「くつろぐための空間」として役割が明確化されており、それぞれの体験が損なわれることはありません。それでいて、外観や構成においては一体性が保たれているため、建築としての完成度も高く保たれています。

2つの庭がもたらす光と風の関係性

この住宅のLDKは、2つの異なる性質を持つ庭に挟まれるように配置されています。一方はご実家側とゆるやかにつながる庭、もう一方は家族専用のプライベートガーデンです。この2つの外部空間が、光と風を室内へと導き、環境的な豊かさを生み出しています。

単なる採光のための開口ではなく、庭そのものを空間構成の一部として取り込むことで、内と外が連続するような感覚が生まれています。時間帯や季節によって変化する光の質が、室内に多様な表情を与え、日常の中に自然の変化を感じることができます。

キッチンを中心とした生活の核

LDKの中心には、存在感のあるキッチンが配置されています。ブラックで統一されたキッチンは、木質の床や家具と対比を成し、空間に適度な緊張感をもたらしています。

ダイニングとの距離も近く、日常の動作が自然につながるように計画されています。

また、キッチンからは庭やリビング全体を見渡すことができ、家族の気配を感じながら過ごすことができます。このように、キッチンを単なる作業スペースとしてではなく、暮らしの中心として位置づけている点が特徴です。

ピットリビングが生み出すもうひとつの居場所

LDKの一角には、床を一段下げたピットリビングが設けられています。このレベル差によって、空間の中に緩やかな区切りが生まれ、同じ空間でありながら異なる居場所が成立しています。天井もやや低く抑えられており、包まれるような安心感を感じられる空間です。

さらに、このピットリビングはプライベートガーデンと直接つながっており、外部との一体感を強く感じられます。視線が抜けることで空間に広がりが生まれ、コンパクトでありながらも豊かな体験を提供しています。

機能性と居心地を両立する細部の工夫

住まいの各所には、機能性と快適性を高めるための工夫が施されています。ウォークインクローゼットやパントリー、ランドリースペースなどが合理的に配置され、生活動線がスムーズに整理されています。

また、細長いワークスペースのように、個人の時間に集中できる場所も確保されています。

これらの空間は主張しすぎることなく、あくまで暮らしを支える要素として自然に組み込まれています。結果として、生活感を抑えながらも使いやすい住まいが実現されています。

多様な居場所を生み出す住まい

この住宅は、庭・LDK・ピットリビングが連続することで、多様な居場所を生み出している点に特徴があります。空間を単に区切るのではなく、関係性としてつなぐことで、家族それぞれが心地よく過ごせる環境が整えられています。光や風といった自然要素を取り込みながら、日常に豊かさをもたらす住まいのあり方を示した好例と言えるでしょう。