リビングルームの風景

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透き通る暮らし

  • 2500〜3000万円
  • 平屋
  • 延床面積:114.55㎡

常識の外側へ。
木と黒が交差する外観が語る、
「透き通る暮らし」のかたち。

Beyond the ordinary, this architect-designed home is defined by the striking contrast of wood and black.
Its carefully composed exterior reflects a way of living that is open, refined,
and quietly transparent, bringing clarity and comfort to everyday life.

常識の外側へ。
木と黒が交差する外観が語る、
「透き通る暮らし」のかたち。

Beyond the ordinary, this architect-designed home blends wood and black into a timeless expression, creating a lifestyle defined by clarity, warmth, and quiet beauty.

田園風景の中に、凛とした黒い外壁と温かみのある木張りが交差する家が建っています。遮るものの少ない広がりのある土地に、まるで景色の一部であるかのように佇むその姿は、周囲の風景に溶け込みながらも確かな存在感を放っています。開放性とプライバシーという相反するふたつの要素を、建築のデザインによってどこまで両立させられるか。この住まいは、その問いへのひとつの静かな回答です。


建築家コメント

周囲に遮るもののない田園地帯の三角形の敷地では、ガレージを取り入れたスタイリッシュな外観を提案。コンセプトである「透き通る」は、田園風景へと視線が抜ける開放感と、暮らしのプライバシーを両立させる設計思想を表しています。

約28坪という現実的なボリュームの中で、開放感と快適性を両立。自然エネルギーを活かした設計による省エネ性能や、プライバシーを確保しながら広がりを感じられる空間など、これからの家づくりに求められる要素を取り入れた暮らしのご提案です。


黒と木が語りかける、スタイリッシュな外観

黒を基調としたガルバリウム鋼板の外壁と、柔らかな色みの木材を組み合わせた外観は、田園地帯の景色の中で際立った存在感を放ちます。片流れ屋根がつくるシャープなシルエットと、縦格子・横格子のルーバーが組み合わさることで、住まいはシンプルでありながらも豊かな表情を持っています。

西面には細かく組まれた縦格子のルーバーが施されており、内部の視線を遮りながらも外の空気と光を程よく取り込みます。南面には横格子のルーバーが配置され、夏場の強い日差しを穏やかに調整する日射制御の役割も担っています。デザインとしての美しさと、パッシブな省エネ設計が同じ部材によって実現されているのは、この家の設計における重要な特徴のひとつです。

そして目を引くのが、木張りの外壁に大きく口を開けたガレージです。荒削りな木の素材感と、そこに収まるオフロード車の組み合わせは、アウトドアを愛するライフスタイルを住まいのファサードに直接表現したものです。ガレージは単なる駐車スペースではなく、この家のキャラクターを象徴するもうひとつの「顔」になっています。

変形地の可能性を最大限に引き出した、平屋のプランニング

この住まいが建つのは、周りに遮蔽物が少ない三角形の変形地です。難しい条件に見えますが、建築的な視点でとらえると、それは庭やデッキの配置を自由に発想できる可能性の地でもあります。LDK空間を中心に据え、庭とデッキをそこに隣接させることで、屋内の床面積では測りきれない広がりを暮らしの中に生み出しています。

平屋の構成は、空間のつながりをシームレスにする上で大きな役割を果たしています。上下の移動がないため、LDKから庭・デッキへの流れがひとつの連続した動線として機能し、内と外の境界が自然にほどけていきます。大開口の引き違い窓から差し込む光と、デッキ越しに見える田園の緑——屋内にいながらにして、まるで屋外の田園地帯に佇んでいるような錯覚さえ覚えます。

屋内27.6坪という規模は、多くの住宅が現実的に検討する予算帯のボリュームゾーンにあたります。この家はその中で、快適さと広さが十分に成立することを、実物大のかたちで証明しています。28坪程度でも、設計の力によってここまでの豊かさを実現できるという事実は、住まいを検討するすべての人にとって、大きな示唆を持っています。

玄関から始まる、丁寧な空間の序列

玄関ホールは、外の世界と内の生活との間に設けられた「序章」として機能しています。床には磨きのかかった土間仕上げが施され、腰壁には石素材のような質感を持つアクセントパネルが添えられています。足元に仕込まれたライン状の間接照明が、床をやわらかく浮かび上がらせ、玄関という機能的な場所に、静謐な美しさを与えています。

ガレージからの動線と居住空間の動線が適切に分けられながらも、洗面スペースを中間に挟む設計は、アウトドアから帰ってきた際の清潔動線としても機能しています。日々の暮らしの流れを想像しながら設計されたこのプランは、使い勝手と美しさを同時に考慮した丁寧なプランニングの証です。

勾配天井が生む、27坪を超えた広がりの感覚

LDKに足を踏み入れると、真っ先に感じるのは天井の高さです。片流れ屋根の形状を活かした勾配天井が、空間に高低差をつくり出し、限られた床面積の中でも圧迫感のない伸びやかな室内を実現しています。仕上げはシンプルなベージュ・グレートーンで統一されており、素材の存在感よりも空間そのものの気持ちよさが前に出てくる設計です。

室内の床は、リビング部分をモルタル調の土間仕上げ、ダイニング・キッチン部分をオーク材のフローリングと、素材を使い分けることでゾーニングを自然に行っています。段差や間仕切りを設けることなく、素材の変化だけで空間の役割を示す——そのさりげない設計の仕掛けが、LDK全体の一体感を保ちながら、居場所の多様性を生み出しています。

南面の大開口引き違いサッシは、デッキとLDKを一体につなぐ装置です。引き戸を開け放てば、ダイニングテーブルと屋外のテーブルが連続し、内と外を行き来しながら過ごす時間が自然に生まれます。キッチンからもデッキ・庭を見渡せる配置は、料理をしながら外の気配を感じられる、日々の暮らしの中の小さな豊かさを意識した計画です。

プライバシーを守りながら景色を取り込む、格子の設計

LDKから見渡す景色の中に、外部からの視線への配慮が織り込まれています。南面に設けられた横格子のルーバーは、外からの視線を受け流しながら、内側からは田園の緑と空を切り取る額縁として機能しています。格子の向こうに広がる景色は、開口部全体で取り込むのではなく、ルーバーの隙間を通して入ってくることで、かえってその奥行きと豊かさが際立ちます。

西面の縦格子は、夕方の西日を和らげながら、室内から外への視線をほどよくコントロールします。格子越しに漏れ出す光は、夕暮れ時に外観をやわらかく照らし、周囲の景観に対してもこの家が丁寧に存在していることを示しています。開放性の確保とプライバシーの担保というふたつの相反する要件を、ガラス面とルーバーの組み合わせによって解決しているのが、この住まいの設計の核心です。

庭とデッキが拡張する、暮らしの舞台

デッキは、LDKの延長線上にある「もうひとつのリビング」として設計されています。木材の温かみを持つデッキ面には、アウトドアチェアとテーブルが置かれ、焚き火台を囲む時間も想定されたレイアウトです。デッキのステップを降りると、芝生と砂利が組み合わさった庭が広がり、田園の景色へとつながっていきます。

横格子のフェンスが庭の周囲を囲うことで、広がりを感じさせながらも、外部からの視線はしっかりと遮られています。日中は自然光の中でバーベキューや読書を楽しめ、夜はチェアを並べて星空を見上げることができる。そういう時間の積み重ねが、この家での暮らしを豊かにしていくのだという設計の意図が、庭とデッキの構成全体に感じられます。

日射制御と蓄熱を意識した、パッシブな住まいの仕組み

この住まいの設計において、省エネと環境への配慮は意匠から切り離されていません。南面の横格子ルーバーは、夏季の高い角度からの日射を和らげ、室内温度の上昇を抑える日射遮蔽の機能を担っています。一方で冬季は太陽高度が低くなるため、格子の隙間から穏やかな陽光が差し込み、床や壁に蓄えられた熱が室内をゆっくりと温めます。

外観デザインの一部として機能しているルーバーが、同時に季節の日射をコントロールするパッシブ設計の部材でもある——その二重性こそが、この住まいの設計の誠実さを物語っています。光熱費の削減という実利的な効果と、暮らしの快適さを支える環境設計が、美しい見た目と一体になって実現されているのです。

寝室は、LDKの賑わいとは対照的に、静けさを大切にした設計です。ヘッドボード上部に設けられたコーニス照明が、壁をやわらかく照らし上げ、窓から見える木々の緑が室内に自然の気配をもたらします。機能的に整えられながらも、そこに「泊まりたい」と思わせるような上質さがあります。洗面室は木製カウンターにボウル型の洗面器を合わせた造作仕上げで、廊下の奥に見えるガレージとの対比が、この家の暮らし方の幅広さを感じさせます。

「透き通る暮らし」のかたち

変形地という制約を逆手に取り、平屋の伸びやかさを最大限に引き出し、ガレージさえもデザインの一部として統合する。そのひとつひとつの選択が積み重なって、常識の外側にある住まいの可能性が、ここに実物大のかたちで示されています。