リビングルームの風景

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時間をつくる家

  • 2000〜2500万円
  • 2階建て
  • 延床面積:93.57㎡

建築家が手がけた「時間をつくる家」は、
暮らしの動線から生まれる、豊かな余白を生む。

Designed by an architect, this home is created to give time back to everyday life.
Thoughtfully planned circulation enhances efficiency while creating moments of spaciousness,
allowing life to unfold with greater ease, balance, and quiet richness.

建築家が手がけた「時間をつくる家」は、暮らしの動線から生まれる、豊かな余白を生む。

Designed by an architect, this home is created to give time back to everyday life. Thoughtfully planned circulation enhances efficiency while creating moments of spaciousness, allowing life to unfold with greater ease, balance, and quiet richness.

家を美しくデザインするだけでは、豊かな暮らしは生まれない。どれほど洗練された空間があっても、毎日の生活が慌ただしく、家族の時間が失われていくのであれば、家は本来の役割を果たせていないと言えるでしょう。 建築家が手がけた「時間をつくれる家」は、そんな問いかけからスタートしました。明確なコンセプトのもと、1日の動き、家事の流れ、家族それぞれの日常をつぶさに見つめ直し、無駄な動線を削ぎ落とすことで生まれた住宅です。


建築家コメント

家で豊かな暮らしができるよう、空間を創っても時間がなければ意味がない。

「時間をつくれる家」ー。1日の動き、家事の順番、家族の日常生活がスムーズに進行し、無駄な動線を削減することで負担を軽減し、快適な生活を実現する。省スペースの中で効率化を図り、家事を済ませ、広がりの中で思う存分くつろぐ。オンとオフがはっきりとでき、家族の時間、自分の時間、そういう捕らわれない時間にとことん向き合うことができる。

時間を大切にすることで、豊かさをもたらす暮らしのご提案です。


箱型フォルムが街に刻む、静かな存在感

街に対してどのような顔を見せるか。外観のデザインもまた、この住まいの思想を静かに語っています。

外壁に採用されたのは、ブラウン塗り壁仕上げです。温かみのある落ち着いたトーンが、シンプルな箱型のボリュームに柔らかな表情を与えています。装飾を一切排除したフラットな壁面は、時間が経つほどに風合いを増し、街並みに自然と溶け込みながらも独自の存在感を放ちます。側面には縦張りのガルバリウム鋼板が採用されており、正面の塗り壁とのコントラストが建物に軽やかなリズムをもたらしています。

屋根はフラットに見えるキューブフォルムで構成されており、上空に向かって迷いなく切り上がるシルエットが清潔感を印象づけます。立面図に示された最高高さ6,680mmというコンパクトなボリュームは、周辺の住宅街に圧迫感を与えることなく、凛とした佇まいを保っています。基礎高400mmが建物をしっかりと地面から持ち上げ、外観のプロポーションに安定感と品格を添えています。

正面の開口部は意図的に最小限に絞り込まれています。1階には横長のスリット連窓がひとつ、壁面の上部にさりげなく配置されているのみです。これはプライバシーをしっかりと守りながら、室内には必要な採光と通風を確保するための合理的な判断です。一方、南面の2階には大型の開口部が設けられており、外から眺めると「1階は閉じ、2階は開く」という構成が明快に読み取れます。

アプローチもまた丁寧に設計されています。砂利を敷いた前庭には、アガベなどのドライガーデンプランツが植えられており、低メンテナンスながら個性的な表情をつくり出しています。コンクリート打ち放し仕上げの独立した門柱が来訪者を迎え、玄関へと続くステップのラインと呼応して、シンプルで洗練されたアプローチを演出しています。住む人の暮らしを支えるための実用性と、街に対して美しくあろうとする意志が、外観のすみずみに宿っています。

すべては「帰宅動線」のために

玄関を入ると、まず目に飛び込むのはゆとりのある土間空間と、壁面に沿って広がるシューズクロークです。L字型に配置された棚には靴を整然と並べることができ、収納力と使い勝手を両立しています。ダウンライトがやわらかく足元を照らし、帰宅した瞬間から気持ちが落ち着く雰囲気をつくり出しています。玄関は家族の「オン」と「オフ」を切り替える最初のゲート。だからこそ、余裕のある設計が求められます。

洗面室は、ワイドなカウンターと三面鏡を備えた実用的なつくりになっています。高窓から自然光が差し込み、外部の視線を気にせず明るさを確保できる点が印象的です。ダークトーンのキャビネットとナチュラルな木床の組み合わせが、機能的でありながら落ち着いたインテリアを演出しています。

洗面室の隣にはバスルームが配置され、脱衣・入浴・洗濯という一連の家事がひとつの動線上でスムーズに完結します。さらにその先にはウォークインクローゼットが隣接しており、入浴後の着替えから翌日の服選びまで、すべてが短い動線でつながっています。

ウォークインクローゼットは余裕のある広さを確保。ハンガーパイプが両壁に渡り、衣類をたっぷりと収納できます。天井からの丸形シーリングライトが空間全体を均一に照らし、使い勝手のよいウォークスルー型の動線を実現しています。

1階には2つの個室(洋室)も設けられています。落ち着いたアクセントウォールと自然素材の木床を組み合わせた空間は、シンプルでありながら居心地のよさを感じさせます。必要なものだけを置き、何もない時間を楽しめる部屋として設計されています。

トイレもまた、細部にまでこだわりが光ります。グレートーンで統一された壁面と、スッキリとしたフォルムのウォシュレット一体型便器が、ホテルライクな雰囲気を醸し出しています。ただ機能的なだけでなく、毎日使う空間だからこそ、心地よさにこだわっています。

LDKを2階に置く「逆転プラン」の理由

この住宅の大きな特徴のひとつが、LDK(リビング・ダイニング・キッチン)を2階に配置した「逆転プラン」の採用です。一般的な住宅では1階に設けられることが多いLDKをあえて2階に持ち上げることで、外部からの視線を遮りながら、豊富な採光と開放的な眺望を手に入れることに成功しています。

2階のLDKは、大きな開口部と高い天井高によって、コンパクトな建物からは想像できないほどの伸びやかな空間に仕上がっています。南側には大型の引き違い窓と木製ルーバーのバルコニーが続いており、内と外が緩やかにつながるダイナミックな構成です。

開放感のあるリビング

リビングにはゆったりとしたL字型ソファが置かれ、家族が思い思いの姿勢でくつろげるスペースが確保されています。無垢材の床が裸足で歩きたくなる温もりを伝え、木の素材感がLDK全体に自然なやさしさをプラスしています。ダイニングには木製のクロスレッグテーブルと椅子が配置され、食事の時間を大切にしたいという意図が伝わってきます。

印象的な対面式キッチン

キッチンはモルタル調のアイランドカウンターが印象的な対面式。家事をしながら家族の様子を見渡せるレイアウトは、コミュニケーションを生み出すための工夫です。壁面にはシステムキッチンが組み込まれ、収納量と機能性を両立しています。カウンター横にはブラック仕上げのレールライトが配置され、インダストリアルなアクセントを加えています。

階段まわりのデザインがポイント

注目したいのが、2階の階段室周辺のデザインです。木の柱とスチールワイヤーを組み合わせた構造が、吹き抜けのような開放感を視覚的に演出。固定した壁を設けずに空間を緩やかに仕切ることで、どの場所にいても家族の気配を感じられる一体感のある2階空間が生まれています。

豊かな暮らしとは、大きな家に住むことでも、高価な素材を使うことでもありません。毎日の生活をスムーズに回し、家族それぞれが「自分の時間」を持てること。それこそが、本当の意味での豊かさではないでしょうか。この住まいは、建築的な美しさと生活の実用性を高い次元で両立させた、現代の暮らしに応える住宅のひとつのかたちを示しています。空間デザインの美しさだけでなく、「どう生きるか」という問いに向き合った家として、訪れる人に確かな刺激を与えてくれることでしょう。