リビングルームの風景

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童心が息づく、創造の余白

  • 3500〜4000万円
  • 2階建て
  • 延床面積:106.81㎡

窓のないファサードが問いかけるもの。
ホテルライクな住まい「童心が息づく、創造の余白」。

What does a windowless façade reveal, This hotel-inspired residence explores the beauty of creative space,
where a sense of childhood wonder remains alive and imagination is free to unfold.

窓のないファサードが問いかけるもの。ホテルライクな住まい「童心が息づく、創造の余白」。

What does a windowless façade reveal, This hotel-inspired residence explores the beauty of creative space, where a sense of childhood wonder remains alive and imagination is free to unfold.

住宅団地の一角に、窓を持たない家が静かに建っています。深みのあるオリーブグリーンの外壁には開口部がなく、唯一の表情は一枚の玄関ドアだけ。外から見ればミニマルな箱のようなその佇まいは、しかし内側に向かって驚くほど豊かに開いています。閉じることで生まれるプライバシー、そして内側へと深まる空間の豊かさ。この住まいはその問いに、ひとつの静かな答えを示しています。


建築家コメント

この空間に足を踏み入れると、日常の喧騒から自然と解き放たれる。サウナと水風呂で心身を整え、テラスで火を囲みながら過ごす時間は、自分自身と向き合い、人とのつながりを深めるきっかけを与えてくれます。

昼は笑い声が響き、夜は静かな星空の下で会話や思索を楽しむ。ここには、慌ただしい日常では得られないゆとりと余白があります。

ただ過ごすための場所ではなく、感性を刺激し、新たな発想や交流を生み出す場所。大人も子どもも肩書きや役割を忘れ、自分らしく過ごせる、創造性に満ちた空間です。


玄関ドアだけが、唯一迎えてくれる

隣の建物も近く、外の喧騒が漏れ聞こえてくるような敷地に建つこの家は、あえて外に向けた窓を持ちません。外観に窓を設けて採光や通風を確保しながら立面に表情をつくる一般的な手法を、この設計は手放しています。外に向かって開かない。外の視線を受け取らない。そのかわりに、内側へ向かって深く豊かに開いていく。そのあり方を、ファサードのデザインが静かに宣言しています。

モルタル刷毛引き仕上げのアプローチ、白砂利が敷かれた足元、シンプルな門柱。余計なものを一切排した外構は、この家が「外見で語らない」という意思を持って設計されていることを感じさせます。外から見れば謎めいた箱のようでも、その内側には丁寧に積み重ねられたドラマが待ち構えているのです。

オリーブグリーンが貫く、統一されたマテリアルの世界

玄関ドアをくぐると、外の世界とは明らかに異なる空気感が出迎えます。天井・壁・床に至るまで、内部空間を包み込むのはオリーブグリーンの左官仕上げ。外壁と同じトーンの色が建物の内と外を繋ぎ、この家がひとつの完結した世界であることを感じさせます。

玄関ホールに置かれたウォールナット材のシューズカウンターと、ガラスとスチールで構成されたスケルトン階段が視界に入ると、「ここは住宅である」という既成概念が静かに揺らぎはじめます。踏み板は無垢のウォールナット、側板はブラックのスチール、蹴込みはガラス。透過性のある構成が、玄関ホールに奥行きと軽やかさをもたらしています。

階段の上部には小窓が設けられており、そこから差し込む自然光が左官の壁をやわらかく照らします。外の窓を持たないこの家の中で、光は慎重に、計算されたかたちで内部へと導かれているのです。壁に設けられた横長のブラックのブラケット照明は、夜になると壁面に繊細な陰影をつくり出します。昼と夜とで表情を変えるこの玄関ホールは、単なる通過点ではなく、この家の世界観へと引き込む「序章」として機能しています。

1階は「静」のゾーン。ホテルのような寝室とプライベートな水回り

1階は寝室・水回りを中心とした「静」のゾーンです。3室の洋室が並ぶ間取りは、それぞれ個性の異なるしつらえで、訪れる人を異なる感覚へと連れていきます。

ひとつ目の寝室は、ダブルベッドが収まるコンパクトな空間です。壁と天井にオリーブグリーンの左官を施し、ヘッドボード上部にコーニス照明を仕込むことで、間接光がやわらかくまわる上質な眠りの場がつくられています。横長の地窓からはほんのわずかな外光が差し込み、それが照明と相まって、まるで高級旅館の客室のような静謐さを生んでいます。

もうひとつの寝室は、ツインベッドが並ぶ明るい室内構成です。こちらも同様にヘッドボードのコーニス照明が設けられており、天井への間接光が柔らかな包容感をつくり出しています。引戸を開けると隣の空間とつながる設計は、家族での使い方に自由度を持たせています。

洗面室は、大判のシングルスラブ洗面ボウルに仕上げた造作カウンターが目を引きます。正面には3面鏡が設置され、機能性と清潔感を確保しながらも、左官仕上げの壁と組み合わさることでホテルライクな雰囲気が漂います。ウォークインクローゼットもオリーブグリーンで統一されており、収納空間でさえもこの家のデザインの一部として成立しています。

日常の輪郭をそっとほどくこと。それがこの住まいの設計を貫くコンセプトです。外から閉ざされているように見えるこの家は、実は内側に向かって徹底的に豊かです。感性を刺激するマテリアルの質感、計算された光の落とし方、空間ごとに異なる天井高と床レベルの変化。それらが積み重なって、住む人の感覚をゆっくりと解きほぐしていきます。

2階は、「遊び」のためのフロア

1階の静かな寝室ゾーンとは対照的に、2階はダイニングキッチン、リビングルーム、プライベートサウナ、そして空に開かれたテラスが凝縮された「遊びのゾーン」として設計されています。窓のないファサードが外界を遮断しているからこそ、2階の空間は完全にプライベートです。誰かの視線を気にすることなく、時間を忘れて過ごすことができる解放感が、このフロア全体に満ちています。

階段を上がると空気が変わります。オリーブグリーンの左官壁が連続する廊下の先に、ダイニングキッチンが現れます。細長い縦窓からは外の光が差し込み、夜には外の暗闇とのコントラストが空間に奥行きをつくり出します。昼と夜で異なる表情を持つこのフロアは、時間の流れを楽しみながら過ごせる場として設計されています。

アーチがつなぐ、キッチンとリビングの豊かな関係

2階のダイニングキッチンに足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが大きなアーチの開口です。オリーブグリーンの左官壁に穿たれた半円のアーチは、ダイニングキッチンとリビングルームを視覚的につなぎながら、ゆるやかにゾーンを分けるデザイン上のアクセントになっています。このアーチひとつが空間全体の印象を決定付けており、見る角度によって異なる表情を見せてくれます。

キッチンはセンターアイランド型で、幅の広いカウンタートップは調理の場であると同時にバーカウンターとしても機能します。ブラックのカウンタースツールが並ぶ様子は、まるでプライベートレストランのようです。シンクにはプロ仕様のスプリングノズル水栓が採用され、機能性と見た目のかっこよさを両立しています。左官仕上げのグレーとオリーブグリーンの組み合わせは、空間全体に品格と落ち着きをもたらしています。

テラスに面した引き違い窓からは、昼間の光がキッチン全体を明るく照らし、夜は照明の光がテラス越しに外の闇とコントラストをつくります。光の計画が精緻に設計されているからこそ、昼・夜どちらのシーンでも魅力的な空間が生まれています。

「おこもりリビング」という豊かな発明

ダイニングキッチンからアーチをくぐった先にあるリビングは、ひと際個性的な空間です。フロアレベルが一段下がっており、カーペット敷きの床が足元に広がる「おこもりリビング」として設計されています。段差のステップ部分はベンチとしても機能する構造で、ここに腰掛けてダイニング側と会話することができます。ソファを置かなくても、ステップに座ってゆったりと過ごせる。この空間は、家具の配置に縛られない自由な使い方を促しています。

壁沿いにはウォールナット材のローボードが設えられており、テレビを置いたり趣味のものを飾ったりと、住む人の個性で育てていける余白があります。天井はなだらかな勾配天井となっており、空間に包まれているような感覚と開放感が絶妙なバランスで共存しています。効率や機能よりも、いかに気持ちよく過ごせるかを最優先に考えたこのリビングは、忙しい日常をいったん手放して、ただ「いる」ことを楽しめる場所です。

プライベートサウナと水風呂バレルが生む、ととのいの体験

この住まいの最大の特徴のひとつが、2階に設けられたプライベートサウナです。サウナ室はフィンランド製の本格ストーブを中心に据えた仕様で、白木のベンチが段違いに組まれています。コーニス照明がベンチの輪郭をやわらかく照らし、壁面には温湿度計が埋め込まれており、室内の状態を常に把握しながらサウナを楽しめます。木の香りと間接光が包むこの空間は、日常から切り離された静かな時間を生み出します。

サウナと直結するテラスには、木製のバレル型水風呂が設置されています。天空に向かって開いたテラスで外気に触れながら水に沈む体験は、都市の住宅では到底得られないものです。サウナで身体を温め、水風呂でリセットし、外気の中でただ静かに整っていく。そのシークエンスが、すべてこのテラスの中で完結します。

テラス壁面にはシャワーも設けられており、サウナ→水風呂→外気浴というセットを途切れることなく体験できます。シャワーヘッドはブラックのデザイン仕様で、機能性と美しさを兼ね備えた選定です。植栽が置かれ、空が見え、二脚のチェアが並ぶテラスは、プライベートな小さなリゾートそのものです。

サウナで整い、テラスで空を見上げ、おこもりリビングで好きな時間を過ごす。この家には、そういった「余白のある暮らし」を支えるための装置が、2階フロア全体に丁寧に散りばめられています。感性と知性がやわらかく遊べる場所、大人も子どもも心を解き放てる場所。物件タイトルである「童心が息づく、創造の余白」は、この2階のあり方そのものを指しているのかもしれません。日常の輪郭がゆっくりとほどけていく、そんな住まいがここにあります。